「ボトルネック」米澤穂信
恋人を失った主人公の少年。ふと気付いたら周囲の世界が一変していた。見慣れた町のはずなのに、あるはずの無いもの、そこにいるはずの無い人間が当たり前のようにそこに存在している世界。そこでは自分が生まれる前に流産によって生まれてこなかった筈の姉が存在しており、そして自分は生まれていないことになっていた。そして突き付けられる苦い現実。自分の存在はそもそもエラーだったのではないか。いない筈の姉がいて自分が存在しないこの世界こそが「本来あるべき世界」だったのではないか。苦悩する主人公が最後に得た答えは――。
ひっどいハナシだった。自分の周囲の現実を徹底的に諦観してあるがままに受け入れてきた主人公に突き付けられる「自分が存在しない世界」。あまりにも残酷で、それでいて理想的な現実。無力感に打ちのめされた経験てのは程度の差こそあれ大抵の人間は一度は感じるが、それを一番残酷なカタチで見せつけられる。青春小説、と言えば聞こえはいいが、これは若さという要素の中から陰鬱になる部分だけを抽出した上で徹底的に煮詰めてる。古典部シリーズでも「若さ」を突き放してる感はあったが、あっちではグレーの青春を描くためのコントラストとしてあった学生生活の描写が皆無なため、徹頭徹尾、全てにおいて灰色。同年代の奴が読んだら軽く鬱になるんじゃなかろうか。
以上、絶賛の嵐。最後の一行が極めつけに素晴らしすぎて思わず唖然。ラストシーンをどう解釈すればいいのかは評価が分かれるところ。最後まで苦味が残るラストだったが俺は当然支持する。大変楽しんだ。
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