2009年6月20日 (土)

「ボトルネック」米澤穂信

Photo  恋人を失った主人公の少年。ふと気付いたら周囲の世界が一変していた。見慣れた町のはずなのに、あるはずの無いもの、そこにいるはずの無い人間が当たり前のようにそこに存在している世界。そこでは自分が生まれる前に流産によって生まれてこなかった筈の姉が存在しており、そして自分は生まれていないことになっていた。そして突き付けられる苦い現実。自分の存在はそもそもエラーだったのではないか。いない筈の姉がいて自分が存在しないこの世界こそが「本来あるべき世界」だったのではないか。苦悩する主人公が最後に得た答えは――。

 ひっどいハナシだった。自分の周囲の現実を徹底的に諦観してあるがままに受け入れてきた主人公に突き付けられる「自分が存在しない世界」。あまりにも残酷で、それでいて理想的な現実。無力感に打ちのめされた経験てのは程度の差こそあれ大抵の人間は一度は感じるが、それを一番残酷なカタチで見せつけられる。青春小説、と言えば聞こえはいいが、これは若さという要素の中から陰鬱になる部分だけを抽出した上で徹底的に煮詰めてる。古典部シリーズでも「若さ」を突き放してる感はあったが、あっちではグレーの青春を描くためのコントラストとしてあった学生生活の描写が皆無なため、徹頭徹尾、全てにおいて灰色。同年代の奴が読んだら軽く鬱になるんじゃなかろうか。

 以上、絶賛の嵐。最後の一行が極めつけに素晴らしすぎて思わず唖然。ラストシーンをどう解釈すればいいのかは評価が分かれるところ。最後まで苦味が残るラストだったが俺は当然支持する。大変楽しんだ。

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2009年6月 4日 (木)

「タイム・リープ -あしたはきのう-」高畑京一郎

Photo  面白かった。上下巻構成だけど、2冊合わせて2時間で読みきってしまった。ハナシは相当こんがらがってるんだけど、読んでて全く混乱しない。読み進める内に作中でバラ撒かれた伏線が見事なまでに回収されていく快感。凄まじい構成力だ。世の中知らなかった名作はまだまだあるのだなあ。

 一週間の中で細切れに時間移動が繰り返されていくが、この移動は「意識」のみがその対象であり、「身体」は正常な時間の流れのなかに存在したままというのが他のタイムトラベルものとは異なる点。それが起こる原因となった理由も、若干拍子抜けだけど別に評価を下げる原因にはならない。それにしてもネタを割らずにストーリーを語るのが難しいこと。

 挿絵が随分と古臭い感じだが、95年に発表された作品なのでこれはまあ。俺の中の和彦のイメージが挿絵と随分異なるので、絵を見たときの違和感がなかなか拭えなかった。ていうかどう見ても高校生には見えません。あと主人公達の通う高校は県立高校のはずだが、制服が随分私立っぽいです。まあこれは俺の中の「私立=ブレザーにチェックのスカート」という偏見のせいなんだが。

 あとこれは本筋とは全然関係ないが、高校名は作中では「東校」となっており、作中の高校の描写がモロに自分の母校と被っていたのも違和感の原因かも。作者は静岡県出身とのことなので、もしかしたらウチのOBなのか。一部実際とは異なる点もあったが、授業が一時限65分とか、サッカーが強いとか、球技大会の種目とか見事なくらい見事なくらい共通点が多くて笑った。いやまあ高校時代にもしこんな体験してたらと思うとちょっとヤだけど。

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2009年5月29日 (金)

「インシテミル」米澤穂信

Photo  求人情報誌に書かれた自給は11万2千円。期間は7日間で一日当たり労働時間は24時間。仕事内容は不明。様々な思惑で応募してきた12人。仕事の内容はただ一つ「24時間監視下に置かれること」ただそれだけ。ところが各々に割り当てられた部屋に入るとそこには古今東西のミステリで使用された凶器が――。

 何で俺はこう殺伐としたハナシに手を出しまくってるのか。というわけで前々から気になっていた米澤穂信の本。Amazonで購入。しかし近所で扱ってないなあこの作家。面白いんだけど。

 古典的にも程がある「館モノ」。しかも閉じ込められた場所の名前が「暗鬼館」。作中の凶器の紹介の中でこれでもかとばかりに出てくる古典的ミステリの数々。もちろん狙ってやってるんだろけど、確かに現代風に館モノをやろうとしたらこういう突拍子もない設定しかないのかも。

 この作家の物語の構成力は古典部シリーズで十分承知していたので大変期待していた。そしてその期待は裏切られなかった。お遊びでこういう話をやりつつも中身は至ってマジメ。よくできたミステリだと思った。舞台の設定上「密室」を作り出すことが不可能になってるので、たまにある「それ絶対実現不可能だよね」と言いたくなるような非現実的なトリックもなく、かといって一発で誰が犯人か分かるほどペラいハナシでもなく。冒頭の小さな伏線が、ラストで意外な方向から繋がってくる。流石だなあ。

 設定がトンデモなだけにオチが付け辛いのか、ちょっと拍子抜けのラストなのはご愛嬌。久々にミステリっぽいミステリを読んだなーと思った。高い金払ってハードカバーでよんだ甲斐があった。ただしばらく殺伐としたハナシはいらないなあとも思ったり。

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2009年5月 8日 (金)

「アキハバラ@DEEP」石田衣良

 読書感想文ブログかウチは。まあそれはともかく。

 とりあえず映画化された、「池袋ウエストゲートパーク」の原作者が書いた、原作者がたまに平成教育予備校に出てた、程度の前知識はあった。そこそこ人気らしいし、ちょっと期待しつつ購入。

 『アキハバラで出会った5人のヲタクと、コスプレ喫茶の看板アイドル。彼らは6人でベンチャービジネスを立ち上げ、高度なAIによって人間並みの知能、感情を持つ画期的なサーチエンジンを開発した。しかしそのサーチエンジンに目を付けた悪名高きIT企業の社長にデータを丸ごと強奪されてしまう。ヲタクの誇りをかけた「明るく楽しいテロリズム」による奪還劇は成功するのか?』適当にアオリをいれたあらすじはこんな感じ。

 そして裏切られた。えーっとこれ何で映画化されるほどの人気なの?500ページオーバーの量があって、登場人物が誰一人として印象に残らない。というか登場人物の行動の動機に必然性がまるでなく、展開が全てご都合主義で、主人公達が出会って結束していく過程の描写が徹底的に足りない。悪徳IT社長の変態趣味も、その弱みに付け込むみたいな伏線でもなんでもなく、単純にワルモノ属性を付けたかったのかも知れないが蛇足もいいところ。データ強奪、奪回の手段にしても、鮮やかなクラッキングとかそういう王道な方法でないのはともかく「空き巣に入って物理的に筐体ごと盗み出す」「格闘技の訓練をして本社ビルに殴り込みをかける」とか斬新過ぎて唖然。ソーシャルハッキングこそ単純にして最良の手段というアンチテーゼかも知れない。違うかも知れない。

 あと主人公グループの内一人が結局最初から最後まで何もしなかった(AIの名づけ親になったくらい)とか、イチイチ挙げればキリが無いが、なにより不満なのは「主人公達のヲタ描写が圧倒的に足りない」ことか。テレビで面白おかしく報道されているヲタの表層的な部分しか見えない。主人公達が単にアキハバラが好きな外見がダサい人以上の何者でもない。少なくとも俺にはこの小説の主人公達は全くヲタには見えなかった。例えは古いが「七人のおたく」の時にあった偏執的な描写がすっぽし抜けてる。俺の中の「ヲタ」の定義が違ってるのかも知れないが。別にそうならそうで全く構わないが。

 ともあれこれはダメでした。勝ち負けで言ったら負け。わりと大差で。

 (追記 Amazonのカスタマーズレビューを見てみると、やはりというかなんというかすっぱり評価が分かれている模様。同じようなことを書いてるヒトタチが結構いて、ちょっと面白かった)

 

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2009年4月27日 (月)

「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」桜庭一樹

 タイトルは聞いたことあった。評判がいいのも知ってた。たまたま見つけた。で読んだ。

 ・・・・・・なんだろうこの読後感は。つまらない、ではない。面白かったか?と尋ねられてもそれも違う。困惑だ。

 冒頭の新聞記事でこのハナシのオチは明白。その結論に向かうまでの追憶譚というスタイル。でもコロンボとか古畑みたいな「倒叙モノ」でもない。あるべき方向にあるべきルートでハナシが進み、予定されたオチを迎える、ただそれだけ。そこにはなんの意外性もヒネリもなく、最後まで淡々としたまま物語が閉じる。

 もともとラノベとして出版されたとのことだけど、明らかに毛色が違う。ちょっと血塗れすぎる描写といい、キーパーソンが児童虐待を受けているという設定といい、ほんとにこれはどう評価していいのか分からない。メジャータイトルを楽しめない俺が悪いだけなのかも知れない。

 どうやらこの人、EVEシリーズ(エロゲ史上でも名作と評価の高い奴。とはいえ名作なのは初代の「burst error」のみ)でも悪名高い「the lost one」を書いたシナリオライタさんらしく、当時はボロクソに叩かれたと言う過去を持つ人らしい。でもこの作品で一躍有名になった、とのことだが。うーん分からない。ラノベという土俵でこの作風はなかなかのインパクトだけど、それ以上のことは俺には感じられなかった。主人公(女)に共感できなかった時点で負け確定だったのかもだが。

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2009年4月20日 (月)

「神様のメモ帳」2巻/3巻

 平日休みを満喫しようプロジェクトその2。しかし軽く読める本だこと。まさにライトノベル。

 ヘタレ主人公は相変わらず。しかしこれは物語の構造上の必要悪である以上、ここにツッコムのは野暮もいいところ。こういう設定にしとかないと多分一冊当たり今の半分くらいでハナシが閉じてしまう。ただこの小説、このダメダメ主人公の視点で物語が動くためここをまず許容できないと恐らく半分読んだくらいで本を壁に投げつけるハメになると思う。そして許容さえすれば、1巻よりは面白いと思った。

 1巻で起こる事件のスケールが箱庭程度だとすると、2巻は六畳間くらいにはなった。ただ主人公のスケールが子猫の額程度しかないので、やはり狭い範囲で物語が閉じていく印象は拭えない。構成は1巻よりは大分マシにはなってる。探偵少女の電波っぷりも、描写にブレがないぶん一度受け入れればそれはそれで。読んで損したとは思わなかっただけでも勝ちだ。

 そして3巻は1巻ラストで残された謎と登場人物の過去を絡めてキャラの幅を広げる傍ら、本当に、顕微鏡でギリギリ確認できる程度に主人公が成長したことを示すハナシ。3巻は普通に面白かった。こういうのをやるなら、確かに主人公が愚鈍でないと成り立たない。ミステリとしての体裁も今までで一番整っていた、ような気がする。というか3巻にしてようやく作者がキャラの動かし方を決めたような印象。前回のエントリの言葉を借りるなら、いいほうに化けた感じ。ただこの構成だと正直2巻は要らなかったような気もする。

 とりあえず続巻が出たら買っておこうとは思った。1巻2巻はこのシリーズを追いかけるための修行だった、ということで。ただ正直、主人公視点で書くのはヤメた方が現状よりはるかに面白くなる(というか読みやすくなる)とは思う。

 

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2009年4月17日 (金)

「神様のメモ帳」杉井光

 なんとなくラノベ成分を補充したくなった時見かけた。一応ミステリ風味らしい。深く考えずに購入。

 で。読み終わった感想としては「主人公ウザすぎ」だった。いや面白くなかったとまでは言わない。でもこの主人公はちょっとヘタレ属性強すぎではないですか。とにかくやることなすこと全てが後ろ向き過ぎる。世の中を斜に構えて見てるつもりなのは当人だけで、傍から見ればどこに出しても恥ずかしくない重度の厨二病。主人公の成長物語をやりたかったのは分かるけど、スタート地点がちょっと見えないくらい奈落の底からってのはどうよ。

 そして事件を解決する役回りであるところの少女探偵も重度の電波設定。というかニート探偵て。イラストはかなりキレイなんだけど、それが物凄い違和感。脇を固める「一癖も二癖もあるニートたち」もすごい既視感。「一芸に秀でたアウトロー集団の活躍」というカビの生えたようなコンセプトだが、わかってて買ったにもかかわらず、読んでてちょっと疲れた。

 とまあここまでボロクソに書いておいてなんだけど、途中から「こういうもの」という風に頭を切り替えて読んでみれば、それはそれでまあ、という感じか。ハナシの構成としては特に悪いワケでもなく、人物描写もまあ納得できなくはない。シリーズ物として既刊三巻ほどあるようだし、そこそこ人気のあるシリーズなんだろう。「このライトノベルがすごい!」でもトップ20に入ってたな確か。

 差し当たり二巻も買ってみよう。もしかしたらそれなりに化けてるかも、という淡い期待を抱きつつ。ミステリとしての出来はとりあえず置いておく。「ありがちなコンセプトの予定調和的なストーリー」としては俺的にはまあ及第点だったことだし。でも主人公はもうちょっとヘタレ属性薄めにしてほしいところ。

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2009年3月 7日 (土)

「儚い羊たちの祝宴」米澤穂信

 古典部シリーズ(感想コレとかコレとか)作者による短編集。「あらゆる予想は最後の最後で覆される―。」「ラスト一行の衝撃にこだわり抜いた、暗黒連作ミステリ」という仰々しい煽りがついてたのだけど。うーんどうだろう。5編収録。

 とある大学の読書サークル「バベルの会」を軸にしたオムニバス小説。一貫して描かれる人間の狂信や妄信といった暗黒面の数々。ミステリってよりはサイコホラー?ちょっと感想書くのが難しい。面白くないわけじゃないんだけど。

 古典部シリーズとか小市民シリーズとかとは180度異なる世界観の「黒米澤」的なカテゴリになるのかな。「インシテミル」とか読んでないけど、こういう感じなのか。古典部シリーズのライトノベル感覚で読むモノではないと思い知った。別にそういうのを期待してた訳じゃないけど、ちょっと想像してたものとは違った。「ラスト一行の衝撃」は収録話の内半分位か。「北の館の殺人」「玉野五十鈴の誉れ」はなかなかいい感じ。意外性というよりラスト一行の一言のインパクト、と言う意味で。「身内に不幸がありまして」はちょっとイマイチで、あらゆる予想通りに話が終わっていった。そして表題にもなってる「儚い羊たちの祝宴」は完全にサイコホラー風味。キライじゃないけどちょっと求めてたものとは違った。

 結果としては楽しんだ、けどちょっと微妙かな。古典部シリーズから米澤作品に入っていった俺みたいな読者では好みが別れそう。「インシテミル」も読んでみるかな。

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2009年2月16日 (月)

「Fate/Zero」1-4巻

 以前書いてたゲームのスピンオフ小説。ちなみに書いてるのは原作者とは別人。存在は知ってたがISBNコード(International Standard Book Numberの略。世界共通の図書特定番号。通常流通に乗る書籍には大抵ついてる)なしで一般書店では販売してないため、入手はほぼ諦めていた。同人ショップなんか行きたくないし。しかしどうも最近ヒットする本に出合えなかったため、結局通販で購入。まずは1巻だけ買ってみた。そして見事ノックアウト。早速次巻を買わねば、と思いきや全4巻の内2巻のみ現在品切れ中というオチがつく。ショック。

 とは言え奇跡は起こるもので、世間がバレンタインに現を抜かしているまさにその日、たまたま入ったとあるA-Too店舗で4冊まとめて売ってるのを発見、即購入。バレンタインの奇跡がこんな形で具現化するとは。もうどうしようもなく独身男性として間違っている気がするが、今更なので考えないことにする。

 そして一気に読み終えた。久々に時間を忘れた。

 元々がストーリーとして完成されてる「Fate/stay night」の10年前の出来事を描いたものだが、終着点が(本編のストーリーに続く形として)始めから決まってる話を書くのは相当困難なものである筈なのに(過去の出来事の一部は本編たるオリジナル作品の中で既に語られていることに加え、世界観、人物設定など相当厳しい制約の中でハナシを進める必要がある)、それを全く感じさせない。Zero単体として見れば「その後の続き」があるのが前提で、登場人物は全員死ぬか、決して救われない、深い絶望と後悔を抱えながら生きていく事を決定付けられている。ハッピーエンドの欠片もない、文字通り救いのない話だが、だからこそそこで描かれるドラマが鮮烈に印象に残る。そしてその絶望と後悔を断ち切る物語としての本編をすでに知っている状態で読むことで、物語にさらに深さが生まれる。世の中に適当な二次作品が多いことを考えると、本編の面白さを損なうことなく物語の幅を怒涛の勢いで押し広げたこの完成度の高さは本当にすごい。

 期待に違わぬ面白さ。大変満足しました。

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2009年1月18日 (日)

「イノセント・ゲリラの祝祭」海堂尊

 「螺鈿迷宮」の余波でAmazonで発注。近所で発見できなかったんで。

 久しぶりに白鳥&田口コンビ復活、と見せかけてスポットライトは全く違う場所にロックオン。まあ「螺鈿迷宮」と違って明らかにいらない子扱いはされてなかったけど。というか田口センセに至っては前作では顔見せ以下の扱いだったけど。ちょっとウィキ先生に作者のことをお尋ねしてみたところ、現役医師てのは知ってたけどなるほどこの人自身が作中でやたらプッシュされてる医療機器の導入賛成派なのね。今回出てきた彦根はまさにその作者の主張の為のキャラなのが明白すぎて、実際の医療の実態がどんなものかは知らないけど、そういう知識を得た後で読み返して見るとこれエンターテイメントとしててよりも作者のメッセージ強すぎ。官僚に関する描写なんかちょっと可哀想になってくるほど。ってどうせ厚労相の中の人がこれ読んだとこで別に何も思わないか。

 小説として面白くないのかといえばそんなことはなく、シリーズの中では「ジェネラル・ルージュ」の次くらいに面白かった。具体的には読んでたらいつの間にか結構な時間が経ってて飲みの約束の時間に遅刻した位には。申し訳ありませんでした関係各位の皆様。しかしこれ前回も触れたけどミステリとしてスタートしたシリーズなのにすでに全くミステリじゃないよね全然オッケーだが。ただ一つ苦言を呈すれば、文庫化の際の上下間商売はどうにかならないものか。どうせ大して値段変わらないからハードカバーで買っちゃうんだけど、場所をとるのでただでさえ飽和状態な書籍がさらに大変な事になるんですけど。

 これでとりあえず本は潰したんで、次は一緒に購入した「世界で一番NGな恋」プレイに突入することにしよう。最近エロゲばっかやってる気もするが、ちょっと最近現実逃避欲求が激しくないですか俺。

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2009年1月14日 (水)

「螺鈿迷宮(上・下)」海堂尊

 ドラマ化されたり映画化されたりと節操のなかった「チーム・バチスタの栄光」の一連のシリーズ。一作目の「チーム・バチスタ~」が「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した時に読んで気に入ったので出るたびに買っていた。ただこれミステリーってよりは人間ドラマとしての方が面白いって気がするけど。

 3作目の「ジェネラル・ルージュの凱旋」が個人的には一番面白かった。速水先生カッコ良すぎます。「ナイチンゲールの沈黙」はイマイチだったか。まあそれはともかく「螺鈿迷宮」。

 とりあえずシリーズを追うごとに白鳥がすごい勢いで脇役化していくのはどうなのか。決してつまらなくはないんだけど、「チーム・バチスタ~」の時のトンデモっぷりは鳴りを潜め、「桜宮を舞台としたオムニバスの中の共通項」でしかなくなってきてるのが残念。もう少し真ん中で動くハナシを読みたいです。今作で一番よかったのはドミノさんがプッシュされてたことか。俺の中のイメージは「南キャンのしずちゃん」だったんだけど、「あちこちから言い寄られてるけど全部お断りしてる」という事実が判明したためキャラが定まりません。どんなんなんだ。どうでもいいけど「医師免許と弁護士資格を両方所持してる」という設定はちょっとやりすぎではないですか。

 読んで損したとは思わない。けどミステリとして読むと微妙。まあこのシリーズを追っかけてるならミステリとして読む人は少数だと思うけど。手を出すなら最低でも「ジェネラル・ルージュの凱旋」から読むべきか。出てくるキャラの人となりが分からないとイマイチ楽しめない。

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2008年11月27日 (木)

「機動戦士ガンダムUC」第1巻 ユニコーンの日(上)

 ファーストガンダムからの流れを受け継ぐ正統派の続編、という触れ込みに釣られて手を出してみた。

 ・・・てか1巻だけ読んでも正直話が全然動かないからよく分かりません。そもそも手を出した動機が続編云々よりも「ユニコーンガンダムかっこいい」という単純極まりない理由なのはどういうことだ俺。しかも変に予備知識を入れてしまってるのでオードリー・バーン=ミネバとか分かってるので特にサプライズもなく。いやまあこれは挿絵見れば一発で分かるんだけど。なんか初代ガンダムの1話最初の15分を見ただけみたいな感じ?いやそれは言い過ぎか。とりあえず状況説明と登場人物の周辺エピソードの理解のための巻と思えばいいのか。

 書いてる人が「亡国のイージス」「終戦のローレライ」の人っていう予備知識は持ってたんだけど(作品は知ってるけど読んだことない)、なるほど文章のテンポはなかなか。読んでて訳分かりませんといったことはなく普通に面白いです。話が回り始める次巻以降に期待。

 でも何が一番印象に残ったかって「射出したファンネルを回収する」て一文かな。確かにあれ使用後にどうすんだろう、というのは以前から疑問に思っていた。やっぱ回収してるのか。もうちょっと細かい説明を期待。

 しかしエロゲやらガンダムやら何だかこうアレなエントリばっかですね俺。書いてて楽しいことこの上ないけど。

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2008年10月13日 (月)

「遠まわりする雛」米澤穂信

 ってまたこんなエントリかよ、て声が聞こえてきそうな気がするが気にしない。

 ここんとこずっと書いてた「古典部シリーズ」の短編集。高校入学直後から文化祭後の小さなエピソードを集めた感じ。何度も書いてるんでいい加減言い飽きたんだけど、やっぱ面白いわこのシリーズ。

 しかしこれ2007年発売にもかかわらずどっこにも売ってなかったのでしかたなく近所の書店に取り寄せ依頼したんだけど、(Amazonは送料かかるんでパス。他に欲しいもんも無かったし)まず届くまでに1週間て何事。そんなに在庫ないのかこの本。しかも連絡もらって行ってみればこの本文庫じゃないんですね税込1,400円て何だよおい。たっけー。まあ面白かったから結果オーライではあるんだけどなんか騙された感が。いやろくに調べなかった俺が悪いのだけれども。

 「心当たりのある者は」が結構評判がいい、とのことだったけど、俺的に一番面白かったの「手作りチョコレート事件」か。いやミステリとしては別にどってことないんだけど、このシリーズは既に俺の中では「ミステリ4割、キャラを楽しむ6割」になってるので。里志が憎からず思っている摩耶花の好意をはぐらかし続けるその真意を語るシーンはなかなか良かった。若いって素晴らしいですね。まあこいつらみんな若さに対して徹底的にシビアだけど。あとは表題にもなってる「遠まわりする雛」かな。ラストの折木の独白はなかなか味があって好き。

 しかしこれでこのシリーズ全巻つぶしちゃってちょっと途方に暮れている。「春季限定いちごタルト事件」「夏季限定トロピカルパフェ事件」(コレも米澤作品。「小市民シリーズ」なる名称で呼ばれてる。らしい)は主人公2人がなんかいま一つピンとこないまま終わってしまい大変消化不良だったので、とりあえず積んである同作者の「犬はどこだ」と「さよなら妖精」かな。なんかほんと本ばっか読んでるな俺。

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2008年10月 8日 (水)

「さまよう刃」東野圭吾

 読んでる最中に何度本を投げ捨てようと思ったことか。

 と書くとすっげえつまんなかったと思われるかも知れないがそうではなく。全く予備知識無しで買ったんだけど、「やもめの父親が一人娘をクソガキにレイプされた上に殺害されて、少年法の理不尽さを知るが故に自ら復習を決意する」という鬱要素てんこ盛りのハナシで、このクソガキ共の描写がまあ本気で腹の立つこと立つこと。腹立たしいことこの上ないけど読むのを止められない。最近の東野圭吾はずいぶんと社会派にシフトしたなあ。少年法の存在を心底疑問に思う俺としてはもう主人公の父親に感情移入しまくり。レイプ犯の一人を殺害するとことか冷静に見れば凄惨極まりないシーンのはずなのにものすごく冷静に読んでた。いや俺は善良な一市民なんだが。

 それでいてミステリ要素がちゃんとあって、ラストで普通に唖然。伏線もちゃんとあったんだけど、読んでる俺は「何か違和感はあるんだけどそれが何なのか分からない」状態で、ラストシーンでそもそもトリックがなんだったのかがようやく分かった。いやまあ謎解きどころじゃなかったけど。

 現状日本の法制度において犯罪被害者はゴミ以下の扱いをされていると個人的には思っているので、あのラストはちょっと不満。復讐が正当化される世の中もそれはそれでどうかと思うが、現実の「未成年が加害者の場合の被害者遺族の無念さ」を考えるとちょっとやりきれなさが残るような気が。これ実際の被害者遺族が読んだらどういう感想を持つんだろうか。ちょっと興味深い。不謹慎だと言われそうな気もするが。

 

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「クドリャフカの順番」米澤穂信

 やっと学園祭突入ですか!いや別にいいんだけど。

 あいかわらず「日常の小さな謎」がメイン。クリスティのあの有名作品になぞらえた、ってことになってるけどそれそのものは別にどうでもいい。なんというかこれ「キャラを楽しむ」話になってる気がした。そして俺は大層楽しんだ。どうやらこのシリーズはもともとライトノベルのレーベルから出てたとのことだが、大変納得。ミステリとして読むにはちょっと違う気がする。だが、単純に「こういうもの」として読めばすごくいい出来なのではないですか。

 前二作の感想でも書いたように構成はさすがの一言。今更改めて書くことでもないけど面白いです。前二作が主人公視点固定で語られていたのに対して今回は古典部それぞれの視界から語られるという違いがあるが、キャラの掘り下げとしてよく出来ているのではないかと。千反田さん視点はちょっとイマイチだった気もするけど。

 これでこのシリーズ既刊分は終わったと思ってたけど、どうやら短編集があるらしい。書店を数件回ったけど発見できなかったので取り寄せする事にしました。わくわくしながら待つことにしよう。

 あとここを読んで下さってる希少な読者様各位へ。しばらく本の感想ばっかり書くことになると思われますので、日記的な何かを楽しみにして下さってる方には申し訳ないと先に謝罪しておきます。というかこのカテゴリに興味を持つのは知ってる限り一人か二人しかいない気がするけど。

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2008年10月 5日 (日)

「愚者のエンドロール」米澤穂信

 早速調達。読んだ。大変面白く読みました。大満足。

 それにしても「人が死なないミステリ」でも面白いものは面白いのだなあと改めて実感。いやまあ今回に限っては「人が死なない」というのは微妙に違う気もしなくもないけど。相変わらず構成の巧みさは絶品。というか、この「複数の人間が自分の推理を披露し、主人公がその矛盾を一つ一つ証明して最終的に自分の口から真相を語る」というのはなんかどっかで見たことある気がするな、と思ってたらあとがき読んで納得。なるほどバークリーの「毒入りチョコレート事件」か。ただこっちはさらにもう一捻りしてあって思わず感心させられたが。

 ちなみに自分で考えた解答は作中でも言及されてて、ものの見事にひっくり返されてました。そういや俺ミステリ好きだけど自力で解いたことなんてほとんど無かったよ。まあこういうのは驚かされてナンボだし、自分で推理なんて野暮だとは思うが。

 さてあとは「クドリャフカの順番」か。しかしこれだけハイペースで読書すんのも久しぶりだな。まあこれ以外にも片っ端から米澤作品をかき集めてきたんでまだ4冊くらい残ってるんだが。あと「さまよう刃」はいつになったら読めるんだろう。

 

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2008年10月 2日 (木)

「氷菓」米澤穂信

 俺の定期巡回サイト様で触れられていて、興味が湧いて読んでみた。

 いやこれ面白いわ。

 『とある高校の廃部寸前の「古典部」が舞台。32年前に当時の古典部が作成した文集「氷菓」。その題名に込められた本当の意味は何なのか。そしてその意味に込められた33年前の出来事とは?』

 という、一見どうでもいいような些細な謎なのにもかかわらず面白い。一応ミステリと銘打ってあるが別に誰かが死ぬワケでもなく、大きな事件が起こるわけでもない。しかし、日常の小さな幾つかの謎が、一つの結論に収束していくその過程は物語として大変面白かった。構成の巧みさが際立つ。人が死ぬ話ばかりがミステリではない、と言う事がよくわかる。良いものを読みました。

 この話、どうやら3部作らしいので早速調達してこよう。次作である「愚者のエンドロール」も大変評判が良いらしいので大変楽しみだ。東野圭吾の「さまよう刃」も調達済みで次はこちらを読もうと思ってたけど、とりあえず後回しだなこれは。

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2008年9月17日 (水)

「School Rumble」22巻 小林尽

 最終巻。もう完全に惰性で購入していた。ちなみに今朝通勤途中の毎朝寄るコンビニで購入したが、「そういえばコレ入ってますよー」と店員に能天気に差し出された。ちなみにこれは何も今に始まったことではなく、過去何回かはこういう経緯で購入している。コナンもこれで買ってたなそういや。あれは流石に話についていけなくなって途中で切ったが。というかコンビニ店員に定期購入しているマンガがもろバレしている31歳って相当ダメっぽい。まあその、グッドジョブですセブンイレブン。

 ストーリーそのものの感想は特に別に。最後に結構話が動いてたが、なかなか良かったのではないですか。青春時代なんぞ前世紀に過ぎ去った身にはこの手の直球ストレートな若者ストーリーが眩しすぎます。播磨かっこいい。高野姐さんかっこいい。そういえば姐さんが表紙で笑ってたのが一番インパクト強かった。あと俺的ベストキャラのつむぎさんはどこに消えたんですか。

 これであと買ってるのは「DEAR BOYS」「Q.E.D」「BAMBOO BLADE」「とある科学の超電磁砲」か。こんなにあるのかとちょっと唖然。うわあ俺やっぱダメだ。

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2008年8月30日 (土)

「黒笑小説」 東野圭吾

 先日の「容疑者Xの献身」と同時に調達していたが積んでたのをようやく読み終えた。

 短編が13本だが、タイトル通り「黒い笑い」に満ちている。「インポグラ」「シンデレラ白夜行」「臨界家族」がお気に入り。「奇跡の1枚」はちょっとテイストが違う気もする。

 しかしこの人のこの手の作品は異常なほどシニカルで面白いなあ。「天下一大五郎」シリーズとか、同じく短編集の「超・殺人事件」もそうだったけど、コレを読んで激怒するベテラン作家とか普通にいる気がする。悪意のある皮肉一歩手前のギリギリさが楽しい。

 最近はデビュー当時みたいな推理モノを出してないと思うんだけど、また出して欲しいなあ。でも一番のお気に入りはミステリとはまたちょっと違う気がしている「天空の蜂」なんだけど。

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2008年8月24日 (日)

「SHI-NO -シノ- 黒き魂の少女」 上月雨音

 イマイチだった。ミステリの体裁をとってはいるが、その謎が特に魅力的なわけでもなく(俺が好むのはいわゆる古典的なミステリだが、こちらはハウダニットやフーダニットよりホワイダニット重視な感じ)、何より探偵役の主人公少女に全く、何の魅力も感じられない時点で敗北決定。ワトスン役(という表現も明らかに違う気がする)の大学生に至ってはもう人の良さだけが取り柄のただの木偶の坊という印象しかありません。

 とはいえ既刊でもう8巻まであるし漫画化もされてるってことは人気シリーズなんだろう。5巻にあたる「呪いは五つの穴にある」とかはかなりミステリとして出来がいいというハナシであることだし。この手の奴はキャラが分かってないと楽しさ半減なのでとりあえずそこまでは頑張って読んでみようかとは思っている。諦めるかもしれないけど。

 やはりロリ属性皆無の俺には少々荷が重いのかも。まあ時間があってその時気が向いていたらということで。

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2008年8月19日 (火)

「容疑者Xの献身」東野圭吾

直木賞受賞作。話題になってたのは当然知ってたんだけど先祖の遺言でハードカバーには手を出すなと言われていたので大人しく文庫化を待っていたのだった。そしてすっかり忘れていたところ先日発見、確保した。

キレイに騙された。なるほどこういうオチか。確かに読み返してみると犯行が行われた日の記述は無く、ずるいっちゃあずるいかも。しかしこの小説の本質はトリックそのものじゃない。「容疑者X」であるところの石神が犯行を決意し、実行に至るまでの想いとそれをひた隠し続ける真の目的、そしてそれを看過してしまった湯川の葛藤、そういった湯川と石神のドラマこそがこの話の肝だと俺は思う。あの救いの無いラストシーンは必然であったと断言する。

ちょっと前の月9でやってた「ガリレオ」の、とりあえずキャストの絶望的なミスマッチさえ許容できれば最終回まではそこそこいい出来だったにもかかわらずドラマオリジナルとかで余計な事をしてすべてをブチ壊した苦い記憶が蘇る。この話映画化するらしいけど頼むから変にハッピーエンドにしてくれるな、と思わずにいられない。というか湯川のキャスティングをちゃんと佐野史郎にしてくれ。あと柴崎コウもいらん。色恋要素のカケラすらこのシリーズには全く必要ない。むしろ邪魔。

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2008年7月26日 (土)

「とある魔術の禁書目録」 鎌池和馬

とりあえず1~3巻まで購入。読んでみた。

「ジャンプ漫画の王道」って表現があったが、なんとなく納得。ジャンプ読んでたのなんて中学までだからもう15年以上前のハナシなんだけど妙に説得力があった。こういう正統派の(?)ラノベは読んだことなかったけど、人気シリーズだけあって面白いかといわれればまあ面白かったですよ、と答える。とは言え絵に描いたような熱血主人公とあざとすぎるヒロイン、さらにあざといを通り越して訳の分からない設定のサブキャラ(小萌先生とか)に彩られた極彩色のストーリーは最初の内はちょっとだけ読んでて疲れた。滑りまくるギャグの嵐、唐突に出てきてはいつのまにか追いやられていくサブキャラ、熱血の一言で全てが説明される行動原理の強引さetc。とはいえ2巻あたりから特に気にもしなくなるので単に慣れの問題なのかも。

とりあえず継続購読してみることに。既刊分だけで16巻もあることだししばらくはいい時間つぶしになるだろう。というかこのシリーズはさておき、「涼宮ハルヒの驚愕」はいったいいつになったら出るのか。第2期アニメに合わせるとかか。大分待たされそうだ。

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