「インシテミル」米澤穂信
求人情報誌に書かれた自給は11万2千円。期間は7日間で一日当たり労働時間は24時間。仕事内容は不明。様々な思惑で応募してきた12人。仕事の内容はただ一つ「24時間監視下に置かれること」ただそれだけ。ところが各々に割り当てられた部屋に入るとそこには古今東西のミステリで使用された凶器が――。
何で俺はこう殺伐としたハナシに手を出しまくってるのか。というわけで前々から気になっていた米澤穂信の本。Amazonで購入。しかし近所で扱ってないなあこの作家。面白いんだけど。
古典的にも程がある「館モノ」。しかも閉じ込められた場所の名前が「暗鬼館」。作中の凶器の紹介の中でこれでもかとばかりに出てくる古典的ミステリの数々。もちろん狙ってやってるんだろけど、確かに現代風に館モノをやろうとしたらこういう突拍子もない設定しかないのかも。
この作家の物語の構成力は古典部シリーズで十分承知していたので大変期待していた。そしてその期待は裏切られなかった。お遊びでこういう話をやりつつも中身は至ってマジメ。よくできたミステリだと思った。舞台の設定上「密室」を作り出すことが不可能になってるので、たまにある「それ絶対実現不可能だよね」と言いたくなるような非現実的なトリックもなく、かといって一発で誰が犯人か分かるほどペラいハナシでもなく。冒頭の小さな伏線が、ラストで意外な方向から繋がってくる。流石だなあ。
設定がトンデモなだけにオチが付け辛いのか、ちょっと拍子抜けのラストなのはご愛嬌。久々にミステリっぽいミステリを読んだなーと思った。高い金払ってハードカバーでよんだ甲斐があった。ただしばらく殺伐としたハナシはいらないなあとも思ったり。
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